工事経歴書の配置技術者の欄に、毎回同じ人物の名前が並んでいる。
「専任技術者がその人だから」
「許可の技術者だから、とりあえずその人を書いている」
そう思っている会社は、少なくありません。
けれど、
専任技術者と配置技術者は、役割がまったく違います。
技術者は大きく2種類
まず整理します。
① 専任技術者
→ 許可を維持するための技術者
(営業所ごとに常勤配置が必要)
② 主任技術者・監理技術者
→ 工事ごとに現場へ配置する技術者
ここを混同すると、体制が歪みます。
よくある誤解
誤解①「専任技術者の名前を書いておけば問題ない」
主任技術者は、事前登録制度ではありません。
要件を満たす社員であれば、工事ごとに配置できます。
つまり、
専任技術者しか書けないというルールはありません。
誤解②「小規模工事だから大丈夫」
たしかに、数十万~数百万規模の一般建設業工事では、
監理技術者は不要です。
必要なのは主任技術者。
ただし、工期が重なっているのに、すべて同じ技術者名。
本当にその人が、すべての工事を技術管理していたと説明できますか?
制度は“形式”ではなく“実態”で見られます。
技術者不足が招くリスク
この問題の本質はここです。
技術者体制が整理されていないと、
・受注後に「配置できない」と気づく
・専任技術者退職で許可要件を欠く
・経審で説明に困る
・元請からの確認に即答できない
という事態が起きます。
技術者は単なる書類要件ではありません。
どの工事を受けられるかを決める経営資源です。
技術者台帳を作っていますか?
技術者台帳がない会社は、だいたいこうなります。
・資格証はファイルにバラバラ
・実務経験年数が曖昧
・誰が主任技術者になれるのか不明
・専任技術者頼みの体制
その結果、
工事経歴書の技術者欄が、全部同じ名前になります。
技術者台帳とは、
・資格
・実務経験
・専任技術者登録状況
・主任技術者要件の可否
・監理技術者該当の有無
を一覧で管理する表です。
これがあるだけで、
「誰をどの工事に配置できるか」
が一目で分かります。
専任技術者=万能ではない
専任技術者は「許可を守る人」。
主任技術者は「工事を管理する人」。
兼任できるケースもありますが、
常に同一人物である必要はありません。
むしろ、他に主任技術者要件を満たす社員がいるなら、適切に分けた方が自然です。
まずやるべきこと
・社員全員の資格を洗い出す
・実務経験年数を整理する
・主任技術者になれる人を明確にする
・工事ごとの配置実態を確認する
この棚卸しだけでも、
会社の体制がはっきり見えてきます。
まとめ
工事経歴書に専任技術者の名前を書き続けることが「安全策」とは限りません。
技術者体制を整理していないことこそが、本当のリスクです。
気づいた今が、見直しどきです。
まずは一度、自社の技術者体制を棚卸ししてみてください。
それだけでも、次の受注の安心感が変わります。
現在、行政書士登録準備中のため正式な業務受任はできませんが、
建設業の実務を見てきた立場から、制度と現場のズレを整理して発信しています。

