管理会計と現場感覚のあいだで整えるということ
建設業経理上は、粗利という言葉は「売上-売上原価」の意味で使われています。
月次損益でいう、売上総利益。
実際に、私も実務でそのつもりで使っていました。
けれど、建設会社の社長は、
「粗利=売上-外注費」
こう解釈している人が少なくはないのでしょうか。
外注費が原価の多くを占める、建設業特有の感覚だと思います。
話が少しずつズレるのは、この解釈の違いです。
立場が違えば、見ている原価も違う
私は管理会計の視点で見ています。
- 売上原価とは何か
- 現場経費とは何か
- 固定費と変動費の違い
一方、現場や営業の感覚では、
原価=外注費。
消耗品やガソリン代、車両費は「会社全体にかかる経費」という感覚です。
工事別に按分するのは大変ですし、そこまで厳密に分ける発想もありません。
どちらが正しい、という話ではありません。
見ている景色が違うのです。
だから粗利の定義も違ってくる
売上-外注費で見る粗利は、
- 受注判断のための数字
- 外注設計のための数字
一方で、
売上-売上原価で見る粗利は、
- 会社全体の安定性を見る数字
- 最終的な営業利益につながる数字
同じ「粗利」という言葉でも、役割が違います。
役割は、正しさを押し通すことではない
私は経営者でも、営業でも、現場でもありません。
数字を整理し、管理会計の視点から整える立場です。
その定義をそのまま押し通しても、社長の判断にはつながりません。
大切なのは、社長が腹落ちしやすい形に整えること。
言葉をそろえ、見ている数字の意味を共有すること。
経営のズレは、言葉から始まる
「粗利が下がっている」
と言ったとき、
売上-外注費の話なのか、月次損益の売上総利益の話なのか。
そこが揃っていなければ、判断も揃いません。
管理とは、正しい定義を押しつけることではなく、社内で共有できる言葉に整えること。
まとめ
一次下請の現場では、原価=外注費という感覚は自然です。
その上で、
全体として何が残っているかを確認する。
工事別粗利と月次粗利。
どちらも必要な数字です。
大切なのは、その意味を揃えて使うこと。
社長が判断しやすい形に、数字を整える。
それが、管理会計を支える私の役割だと考えています。
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