建設会社では、「原価管理」という言葉をよく聞きます。
ただ実際には、売上や外注の金額を社長が把握していて、工事ごとの原価までは整理していない会社も少なくありません。小さな会社では、社長が現場も経営も見ていることが多く、その形でも回っている場合もあります。
しかし、会社の規模が少しずつ大きくなると、「どの工事で利益が出ているのか」が見えにくくなることがあります。
この記事では、建設会社の原価管理について、基本的な考え方を整理します。
この記事でわかること
- 建設会社における原価管理の基本
- 原価管理が必要になる理由
- 工事ごとの利益が見えにくくなる原因
- 最初に整えるべきポイント
- 無理なく始めるための考え方
お金の管理は社長が中心
小規模の建設会社では、売上や外注費などのお金の情報を、社長が中心になって管理していることも多いと思います。
例えば、
・請求書は社長が作成している
・外注の金額や条件は社長が決めている
・現場の状況は社長が一番よく知っている
といったケースです。
このような形は、小さな会社では自然なことでもあります。
社長が現場の状況を把握しながら判断しているため、それでも仕事は回っているという会社も多いでしょう。
ただ、会社の規模が少し大きくなると、社長一人で管理することが難しくなる場面も出てきます。
例えば、
・現場の数が増える
・外注先が増える
・請求や支払いが増える
こうした状況になると、どの工事で利益が出ているのかを、感覚だけで把握するのが難しくなることがあります。
原価管理とは「工事ごとのお金を見ること」
原価管理とは、工事ごとの売上と原価を整理することです。
建設会社の原価には、例えば次のようなものがあります。
・外注費
・自社作業員の労務費
・材料費
・現場でかかった経費
これらを工事ごとに整理することで、その工事の利益構造が見えてきます。
「粗利」という言葉もよく使われますが、工事ごとの原価が整理されてはじめて、数字の意味が見えてきます。
さらに、会社の規模が大きくなると、社長がすべての現場を直接把握することは難しくなります。その際、数字による把握ができていないと、経営判断が感覚に頼る形になりやすくなります。
原価管理が必要になる理由
原価管理は、過去の工事を評価し、将来の判断に活かすための基礎資料ともいえます。
また、原価が分からないままでは、次の仕事の見積を適切に作ることも難しくなります。
過去の実績が整理されていないため、同じような条件の工事でも毎回手探りになります。
社長の感覚で「大丈夫」と思っていても、実際には利益がほとんど残っていないというケースもあります。
特に外注の割合が高い会社では、売上が大きく見えても手元に残る金額は限られます。
工事ごとの原価が整理されていない場合、次のような状況が起こりやすくなります。
・利益が出ている工事と出ていない工事の区別がつかない
・忙しいのに資金が増えない
・見積の精度が上がらない
・値下げや条件変更に対応できない
・赤字工事に気付くのが遅れる
原価管理は、単に数字を細かく把握するためのものではありません。
会社の経営判断に直結する情報を得るための仕組みです。
最初から完璧な管理をする必要はない
忙しい中で現場も見ながら数字まで管理するのは、どうしても限界が出てきます。
ただ、最初から完璧な原価管理をする必要はありません。
建設会社では工事の条件が毎回違うため、最初から細かく管理しようとすると、かえって負担が大きくなってしまうこともあります。
元請の工事もあれば、下請の工事もあります。
外注の割合や材料費の割合も、工事によって変わります。
そのため、最初から完璧な管理を目指すよりも、まずは少しずつ数字が見える状態を作ることが大切です。
工事ごとの原価が整理され始めると、会社全体の数字も見えやすくなってきます。
建設会社の月次管理については、
「建設会社の月次管理はどこまで必要か」
の記事でも解説しています。
できることから少しずつ整えていく
例えば、次のようなことから始めることができます。
・工事番号を整理する
・工事台帳を作る
・事務と情報を共有する
こうした仕組みを少しずつ整えることで、会社のお金の流れが見えやすくなります。
原価管理は、経理だけで完結する仕事ではありません。
現場・社長・事務の情報が少しずつつながることで、会社の数字が整理されていきます。
事務体制や書類管理を整理したい場合は、建設業現状診断で確認できます。
まとめ
建設会社では、社長が数字を把握している会社も多いと思います。
ただ、会社の規模が大きくなるにつれて、原価管理の仕組みが必要になる場面も出てきます。
最初から完璧に整える必要はありません。
工事番号や工事台帳など、できることから少しずつ整理していくことで、会社のお金の見え方は大きく変わります。
原価管理の方法は、会社の規模や業務内容によって大きく異なります。
現在の運用が適切かどうかを整理することで、改善の方向性が見えてくることがあります。
必要に応じてご相談いただくことも可能です。
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