決算変更届(事業年度終了届)の作成時期になると、「工事の実績を整理するだけでかなり時間がかかる」という会社は少なくありません。
その大きな原因のひとつが、工事台帳が整備されていないことです。
この記事でわかること
- 工事台帳がない会社が決算変更届で苦労する理由
- 工事経歴書作成に必要な資料と作業内容
- 毎年同じ負担が発生する原因
- 工事台帳の有無による事務負担の違い
工事台帳がない会社は珍しくない
小規模〜中規模の建設会社では、工事台帳を正式な形で作成していない会社も多くあります。
見積書や請求書、会計データなどで管理しており、普段は「特に困っていない」と感じている場合もあるでしょう。
しかし、決算変更届の作成時には、その影響が一気に表面化します。
決算変更届には工事経歴書が必要
決算変更届(事業年度終了届)では、その年度に行った工事をまとめた 「工事経歴書」 の提出が必要です。
これは、会社がどのような工事を行ったのかを示す一覧表で、工事名・発注者・金額・工期・元請/下請などを整理して記載します。
工事経歴書を作るためには、一年間の工事の情報を漏れなく洗い出す必要があります。
工事台帳がないと起こること
工事に関する情報が散らばっている
工事台帳がない場合、工事経歴書を作るためには次のような資料を一つずつ確認することになります。
・請求書
・請負契約書や注文書
・見積書
・会計ソフトの売上データ
・通帳の入金履歴
・現場資料やメール
これらの必要な情報が複数の場所に分散しているため、工事ごとに突き合わせながら整理しなければなりません。
情報が一致しない
さらに厄介なのは、資料同士の内容が一致しないケースです。
例えば、
・見積書と最終請負金額が違う
・請求額と入金額が一致しない
・工事名の表記がバラバラ
・工期が分からない
など、どの情報を採用するか判断に迷うこともあります。
元請・下請や業種の判断が困難
工事経歴書では、単に金額を並べるだけではありません。
たとえば下記の情報を正しく記載する必要があります。
・元請か下請か
・どの業種の工事か
・工期
・発注者
工事台帳がない場合は、見積書や契約書を見直したり、関係者に聞いたりと、整理にかなりの時間を取られることになります。
件数が多いほど負担は大きくなる
年間の工事件数が多い会社ほど、作業量は急激に増えます。
一件ずつ資料を確認していくため、数十件でも相当な時間がかかります。
ある程度の適当に作成して提出することは、一次的には可能かもしれません。
しかし、将来の手続きで整合性が取れなくなる可能性があります。
そのため、できる範囲で根拠を確認しながら作成することが重要です。
なぜ毎年同じ苦労を繰り返すのか
一度大変な思いをしたのだから、翌年は改善されるのではないかと思うかもしれません。
しかし実際には、同じ作業を毎年繰り返している会社も多くあります。
その理由はシンプルです。
・工事台帳の作成は義務ではない
・日常業務が優先される
・改善のための時間が取れない
・提出できれば問題ないと考えられている
結果として、
工事台帳がない → 作業が大変 → でもそのまま
という状態が続きます。
工事台帳が整っている会社はどう違うか
工事ごとに情報が日常から整理されていれば、工事経歴書の作成は比較的スムーズに進みます。
・工事名
・請負金額
・発注者
・工期
・業種
・元請/下請
といった情報をすぐに確認できるため、資料を探し回る必要がありません。
工事台帳の有無は、会社の事務体制の整備状況を反映していることも多いです。
事務が整っている会社ほど、社長は現場や営業に集中することができます。
反対に、資料が分散している状態では、問題が発生するたびに時間と労力を取られてしまいます。
決算変更届は提出作業だけではない
決算変更届は、単に書類を提出するための作業ではありません。
会社の一年間の実績を整理し、許可を維持するための重要な手続きです。
その基礎となる情報が整っていない場合、毎年の負担が大きくなるだけでなく、ミスや漏れのリスクも高まります。
まとめ
工事台帳がなくても、決算変更届の作成自体は可能です。
しかしその場合、毎年ゼロから情報を集め直すことになり、大きな負担になることがあります。
将来的な手続きや経審を見据えると、日頃から工事ごとの情報を整理しておくことが重要となります。
決算変更届の準備が毎年大きな負担になっている場合、会社の管理状況を一度整理してみることも有効です。
・どの資料を残しておくべきか
・今後必要になる手続きは何か
・管理上の課題はどこにあるか
現状を把握することで、今後の対応の方向性が見えてきます。
建設業許可に関する管理状況の確認や、必要な手続きの整理についてサポートを行っています。必要な際はご相談ください。
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