建設業許可の申請要件はいくつかありますが、「財産的基礎」は見落としがちなポイントのひとつです。
「うちは小さい会社だから500万円なんて無理では?」と心配される方もいますが、実は証明の方法が3つあり、多くのケースでクリアできます。この記事では、財産的基礎の意味と証明方法をわかりやすく解説します。
財産的基礎とは?なぜ必要なの?
建設工事は、材料の仕入れや職人への支払いなど、工事が完了する前に多くの費用が発生します。資金力のない業者が許可を取得してしまうと、工事の途中で資金が尽きてトラブルになるリスクがあります。
こうした事態を防ぐため、建設業許可の取得には一定の財産的基礎または金銭的信用を有することが要件として定められています(建設業法第7条第4号)。
一般建設業と特定建設業で基準が異なる
財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なります。
| 区分 | 財産的基礎の要件 |
|---|---|
| 一般建設業 | 以下の①〜③のいずれかを満たすこと |
| 特定建設業 | 資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上など(より厳しい基準) |
この記事では、多くの中小業者が取得する一般建設業の要件を中心に解説します。
一般建設業の証明方法3つ
一般建設業の場合、次の①〜③のいずれかを満たせば財産的基礎の要件をクリアできます。
① 自己資本が500万円以上
貸借対照表の純資産合計(自己資本)が500万円以上であること。
法人の場合は直前の決算書、個人事業主の場合は期首資本金などで確認します。
ポイント:自己資本とは「資産-負債」の金額です。売上が多くても借金が多ければ自己資本は低くなるため注意が必要です。
② 500万円以上の資金調達能力がある
500万円以上の資金調達能力があることを、銀行等の金融機関が発行する残高証明書で証明する方法です。
申請直前(おおむね申請日の1〜3ヶ月以内)に発行された残高証明書が必要です。残高は申請時点で500万円以上あることが条件となります。
ポイント:残高証明書は「今この口座にこれだけ入っている」という証明です。借りたお金を一時的に入金して証明するのは認められません。
③ 直前5年間、許可を受けて継続して建設業を営んできた実績がある
許可を受けた業者として直前5年間継続して建設業を営んできた実績があれば、①②を満たさなくても財産的基礎の要件を満たすとみなされます。
これは「更新」の場面でよく使われる要件です。5年間きちんと事業を続けてきた実績が、財産的信用の証明として認められています。
新規申請でよくある「①か②か」の選択
新規申請の場合、③は使えないため①か②で証明することになります。
| 方法 | 向いているケース |
|---|---|
| ① 自己資本500万円以上 | 決算書の純資産が500万円を超えている |
| ② 残高証明書500万円以上 | 自己資本は足りないが、口座残高で証明できる |
どちらか一方を満たせばOKです。両方必要なわけではありません。
個人事業主の場合はどう証明する?
個人事業主の場合、法人のような貸借対照表がないケースもあります。
その場合は、確定申告書の期首・期末の資産状況や、残高証明書をもとに判断します。証明書類の形式は都道府県によって異なる場合があるため、申請先の窓口に事前確認しておくことをおすすめします。
財産的基礎は「申請時点」で判断される
重要なのは、財産的基礎は許可申請をする時点で満たしていることです。
たとえば、前期の決算では自己資本が500万円を下回っていても、残高証明書で500万円以上の残高を示せれば申請は可能です。逆に、前期の決算書では問題なくても、申請時点で口座残高が著しく減っている場合には注意が必要です。
まとめ
- 財産的基礎は建設業許可の4要件のひとつ
- 一般建設業は①自己資本500万円以上、②残高証明書500万円以上、③5年間の許可継続実績、のいずれかでクリアできる
- 新規申請では①か②を使うことが多い
- 残高証明書は申請直前に発行されたものが必要
- 個人事業主は証明書類の形式を事前に確認しておくと安心
「うちは財産的基礎が心配…」という方も、残高証明書という選択肢があるため、諦める前にぜひご相談ください。
建設業許可の申請・要件確認については、建設業専門の行政書士にお気軽にご相談ください。
※本記事は2025年4月時点の法令・行政解釈に基づいています。最新情報は管轄の行政庁または専門家にご確認ください。

