建設業の決算変更届と税務申告の違い|決算後にやるべき2つの手続き

決算が終わると、税理士から「申告が完了しました」と連絡が入ります。

その連絡を受けて、ひと安心される社長も多いと思います。ただ、建設業許可を持っている会社には、税務申告とは別に、もう一つ忘れてはならない手続きがあります。それが決算変更届です。

この2つは、担当する専門家も提出先も異なります。税理士から「終わりました」と言われても、決算変更届は別の話です。

建設会社の経理を担当してきた立場から、この2つの違いと、実務でつまずきやすいポイントを整理します。

目次

税務申告と決算変更届、何が違うのか

まず大きな違いは、提出先と目的が異なるという点です。

税務申告は、税務署に対して行う手続きです。1年間の利益に対して税金を計算し、申告・納付します。税理士が担当し、会社側は資料を渡して確認する形が多いと思います。

決算変更届は、建設業許可を受けた都道府県の窓口に提出する手続きです。1年間の工事の実績や財務の状況を報告するもので、許可を維持するために毎年必要です。

この2つは全く別の手続きですが、どちらも決算後に発生するため、混同されやすい面があります。

決算変更届とは何か

決算変更届は、建設業許可を持つすべての会社に毎年提出が義務づけられています。

提出期限は、決算日から4ヶ月以内です。3月決算であれば7月末が期限になります。

提出する内容は、主に以下のものです。

  • 工事経歴書(1年間に完成した工事の一覧)
  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
  • 納税証明書

このうち財務諸表は、税務申告で使う決算書をそのまま使うわけではなく、建設業法に定められた様式に組み替える必要があります。税理士が作成した決算書を受け取ってから、さらに作業が発生します。

なぜ忘れられやすいのか

税務申告は税理士がリードしてくれるため、自然と動きが生まれます。一方、決算変更届は、自社から動かなければ誰も声をかけてくれません。

小規模な会社では経理担当が1人であることも多く、決算後の忙しい時期に並行して対応するのは、想像以上に負担がかかります。

私自身、経理として日々の業務を回しながら、この時期の対応の大変さを肌で感じてきました。「税務申告が終わった」という安心感の中で、もう一つの手続きが後回しになってしまう気持ちは、よくわかります。

提出が遅れるとどうなるか

決算変更届の提出が遅れると、行政から指導を受けることがあります。未提出が続くと、許可の更新に影響が出るケースもあります。

更新の申請をする段になって初めて「出していなかった年がある」と気づく会社も少なくありません。その場合、過去分をまとめて整理する作業が発生し、更新期限に間に合わなくなるリスクもあります。

実務で時間がかかりやすいポイント

経理の立場から見て、特に準備に時間がかかるのは以下の部分です。

工事経歴書の作成

1年間に完成した工事を一覧にする作業ですが、工事台帳や請求書を確認しながら整理する必要があります。日常的に記録が整っているかどうかで、作業時間が大きく変わります。

税理士の資料待ち

財務諸表の組み替えには、税理士が作成した決算書が必要です。税務申告の完了を待ってから動き始めると、それだけで時間を消費します。決算が終わったらすぐに資料をもらえるよう、税理士と事前に話しておくとスムーズです。

納税証明書の取得

税務署や都税事務所に取りに行く必要があります。申告直後は発行に時間がかかる場合があるため、早めに動くことをおすすめします。

まとめ

決算後にやるべき手続きは、税務申告だけではありません。

建設業許可を持つ会社には、毎年の決算変更届という義務があります。税理士から「申告が終わりました」と連絡が来たら、次は決算変更届の準備を始めるタイミングです。

この2つをセットで意識しておくだけで、期限に追われることなく、落ち着いて対応できるようになります。

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