従たる営業所(支店)は登録しなくていいの?OKなラインとNGなラインを徹底解説

会社が成長して支店や営業所を増やすとき、「許可の届出って必要なの?」と迷う方はとても多いです。

「出張所だから関係ない」「倉庫として使ってるだけ」と思っていたら、実は届出義務があった……というケースは珍しくありません。

この記事では、従たる営業所(支店)の登録・届出が必要かどうか、OKなラインとNGなラインをわかりやすく解説します。

目次

「従たる営業所」とは?主たる営業所との違い

まず用語を整理しましょう。

・主たる営業所:事業の本拠となる事務所。法人なら本店、個人事業主なら主たる事務所。
・従たる営業所:主たる営業所以外で、その業種に係る営業活動を行う拠点。支店・営業所・出張所などと呼ばれる。

重要なのは「営業活動の実態があるかどうか」です。

登記上の支店があっても実態がなければ問題になりにくい一方、登記していない拠点でも実態として営業していれば届出義務が生じます。

また、建設業法における「営業所」の定義は、一般的なイメージより広く解釈されます。「出張所だから大丈夫」という思い込みは禁物です。

届出が必要になる3つの判断基準

従たる営業所の届出が必要かどうかは、主に次の3点で判断します。

① その拠点で許認可が必要な業務を行っているか

単なる資材置き場・倉庫・休憩所であれば「営業所」に該当しないことが多いです。しかし、契約の締結・見積の提示・受発注業務などを行っていれば営業所とみなされます。

② 常勤の従業員が配置されているか

多くの業種で「常勤の専任者(専任技術者・宅建士など)」の配置が要件とされています。建設業では、従たる営業所ごとに常勤の専任技術者を置かなければなりません。社員が常駐していない拠点は営業所として認められません。

③ 独立した機能(電話・看板・事務スペース)があるか

物理的に独立した事務所機能を持つかどうかも判断材料です。同一フロアに間仕切りなく設けられた「席」は営業所と認められないこともあります。

「サテライトオフィスだから大丈夫」という思い込みは危険です。実態として営業活動(契約締結・見積提示・受発注など)が行われていれば、名称にかかわらず届出対象になります。

登録しなくてもOKなケース

すべての拠点が届出対象になるわけではありません。以下のようなケースは、一般的に届出不要とされています。

届出不要の可能性があるケース

  • 資材・商品の倉庫・保管庫のみとして使っている
  • 社員の休憩・更衣のみに使う施設
  • 施工中の現場に設置した一時的な仮設事務所
  • 本店と同一建物内の別フロア(一体管理されている場合)
  • 代表者が定期的に訪問するだけの拠点
  • 電話の転送先・郵便物の受取先にすぎない場所

特に「現場事務所」は実務上よく問題になります。工期中だけ設置する仮設事務所は通常「従たる営業所」に該当しませんが、複数の現場を束ねる地域拠点として機能していれば、届出対象になり得ます。

絶対NGなケース(罰則・処分のリスク)

届出をせずに従たる営業所で許認可業務を行うことは、行政処分・罰則・許可取消しのリスクを伴います。

届出が必要なケース

  • 常駐社員が契約・見積を行っている
  • 看板を掲げて顧客対応をしている
  • 受発注・営業活動の拠点になっている
  • 専任技術者・宅建士などを配置している
  • 独立した電話回線・事務所機能がある
  • 求人で「○○営業所勤務」として募集している

無届け営業所の主なリスク

  • 建設業法違反として監督処分(指示・営業停止・許可取消し)の対象になる
  • 経営事項審査(経審)の審査結果に影響し、公共工事の入札資格を失うリスクがある
  • 専任技術者が不在のまま営業所を運営していた場合、遡って問題になる可能性がある

「知らなかった」は原則として免責事由になりません。
定期的な自社チェックが不可欠です。

特に危険なパターン
グループ会社や関連会社の事務所を間借りして実質的な営業活動を行っているケースは特に注意が必要です。
「自社の拠点ではない」と思い込んでいても、実態として営業所と判断されれば届出義務が発生します。

実務での対処法と手続きの流れ

新拠点を設置する場合、または既存拠点の届出漏れが不安な場合の手順をご紹介します。

STEP
実態確認

その拠点で何の業務をどの程度行っているかを確認します。従業員の業務内容・常駐状況・契約締結の有無を書面で整理しましょう。

STEP
建設業法上の「営業所」定義と照合

建設業法・通達・行政解釈を確認します。不明な点は都道府県または国土交通省地方整備局に照会するのが確実です。

STEP
届出・変更申請の要否を判断

届出対象と判断されれば、速やかに変更届または新規申請を準備します。過去の無届け期間についても、自主的に申告・是正することがリスク軽減につながります。

STEP
専任技術者の手当て

届出・変更申請の要否を判断

STEP
書類作成・申請

変更届・新規申請書類を作成し、期限内に提出します。賃貸借契約書・組織図・資格証明書などの添付書類の漏れに注意しましょう。


過去の無届け期間はどうする?

過去の無届け期間がある場合、自主的に是正することが最善策です。発覚後に処分を受けるよりも、自主申告のほうが処分内容が軽くなる傾向があります。是正の方法・タイミングについては行政書士にご相談ください。

まとめ

  • 従たる営業所かどうかは「名称」ではなく「実態」で判断される
  • 契約締結・見積提示・受発注を行っていれば、営業所として変更届が必要
  • 従たる営業所には必ず専任技術者を配置しなければならない
  • 専任技術者が不在のまま営業すると、監督処分・営業停止・許可取消しの対象になる
  • 経営事項審査(経審)にも影響するため、届出漏れは入札にも直結する
  • 過去の届出漏れは、自主是正が最善。早めに動くほどリスクは小さくなる

建設業の許可は、取得して終わりではありません。支店・営業所を増やすたびに変更届の義務が発生し、専任技術者の確保も必要になります。

「この拠点、届出が必要かな?」と思ったときが動きどき。放置すると許可取消しや入札停止につながるリスクがあります。

建設業許可の維持・管理でお困りの際は、建設業専門の行政書士にお気軽にご相談ください。

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