経管の経験年数が足りない?履歴事項全部証明書に載っていない役員歴を確認する方法

「登記事項証明書で役員の在任期間を確認したら、経管の5年に届かなかった」

こういったケースで、すぐに「経管の要件を満たせない」と判断してしまうのは早いかもしれません。

履歴事項全部証明書には、過去の登記情報がすべて載っているわけではありません。古い役員の就任・退任情報は、時間が経つと履歴事項全部証明書から消えてしまいます。

そこで確認したいのが「閉鎖事項証明書」です。この記事では、閉鎖事項証明書とは何か、どういう場面で必要になるか、取得方法まで解説します。

目次

履歴事項全部証明書に載らない情報がある

建設業許可の申請で経管の経験年数を確認するとき、法務局で「履歴事項全部証明書」を取得するのが基本です。

この証明書には現在の登記内容に加えて、過去に変更・抹消された事項の履歴も記載されています。ただし、変更や抹消から一定期間が経過した事項は、履歴事項全部証明書には表示されなくなります。

つまり、かなり前に退任した役員の就任日・退任日は、履歴事項全部証明書では確認できないことがあるということです。

経管の要件は「建設業に関して5年以上の経営経験(役員経験)」です。現在の会社だけでなく、前職の会社での役員経験を通算して5年を超えるかどうかを見るケースも多いので、前職の会社の登記情報が正確に確認できないと、本来は要件を満たしているのに「足りない」と判断してしまうリスクがあります。

閉鎖事項証明書とは

閉鎖事項証明書は、履歴事項全部証明書から消えた過去の登記事項を確認できる書類です。法務局で取得できます。

法務局で取れる会社の登記関係の証明書を整理すると、以下のとおりです。

  • 現在事項証明書:現在有効な登記内容のみ記載
  • 履歴事項全部証明書:現在の内容+過去の変更履歴(ただし一定期間で表示されなくなる)
  • 閉鎖事項証明書:履歴事項全部証明書から消えた、さらに古い登記情報を記載

閉鎖事項証明書に記載される情報としては、過去の役員の就任日・退任日のほか、以前の商号、以前の本店所在地、以前の事業目的なども含まれます。

建設業許可の申請書類として提出するのは履歴事項全部証明書ですが、経管の経験年数を正確に確認するためには、閉鎖事項証明書まで遡る必要がある場合があります。

実際にあったケース

ある建設会社の許可申請で、社長の経管の経験年数を確認したときの話です。

社長は現在の会社を設立する前に、別の建設会社で取締役を務めていた時期がありました。その前職の会社の履歴事項全部証明書を取得したところ、確認できる役員在任期間は1年程度。現在の会社での役員期間と合わせても5年に届きませんでした。

ただ、社長の記憶では「一度役員を退任したが、その前にも役員だった時期がある」とのこと。そこで前職の会社について閉鎖事項証明書を取得してみたところ、履歴事項全部証明書には出てこなかった、さらに前の時期の取締役就任の記録が載っていました。

通算すると5年を超えていて、経管の要件をクリアできたというケースです。

閉鎖事項証明書が必要になる主なケース

経管の経験年数の確認以外にも、閉鎖事項証明書が必要になる場面はあります。

前の会社が解散・清算している場合

以前経営していた建設会社を畳んでいる場合、その会社の登記自体が閉鎖されています。その会社で役員だった事実を証明するには、閉鎖事項証明書を取得する必要があります。

合併で会社が消滅している場合

吸収合併された側の会社の登記は閉鎖されます。合併前の会社での役員経験を証明する場合も、閉鎖事項証明書が必要です。

管轄をまたぐ本店移転をしている場合

法務局の管轄が変わる本店移転をしていると、移転前の登記情報は旧管轄の法務局で閉鎖されています。古い時期の役員情報を確認するには、旧管轄の法務局に対して閉鎖事項証明書を請求します。

取得方法と手数料

取得方法は履歴事項全部証明書とほぼ同じです。

法務局の窓口で取得する場合、登記事項証明書交付申請書に必要事項を記入し、「閉鎖事項証明書」を指定して請求します。手数料は1通600円です。

オンラインで請求する場合、「登記・供託オンライン申請システム」から請求できます。郵送受取なら1通500円、法務局受取なら1通480円です。

注意点

管轄をまたぐ本店移転をしている会社の場合、旧管轄の法務局に対して請求する必要があります。現在の管轄の法務局では、移転前の閉鎖情報は取得できません。

また、コンピュータ化以前の古い情報は「閉鎖登記簿謄本」という形で保管されていることがあります。相当昔の役員歴を確認する場合は、この点も意識しておく必要があります。

経管の経験年数を確認するときのポイント

経管の経験年数を確認する際に意識しておきたい点をまとめます。

履歴事項全部証明書だけで判断しない。 古い役員情報は表示されなくなっている可能性があります。特に、前職の会社での役員経験を通算する場合は、閉鎖事項証明書まで確認することをおすすめします。

複数の会社での経験を通算する場合は、それぞれの会社について確認する。 会社ごとに履歴事項全部証明書と閉鎖事項証明書の両方を取得して、就任日・退任日を正確に把握します。

管轄移転や合併・解散がある場合は、旧管轄・消滅会社の閉鎖事項証明書も確認する。 見落としやすいポイントですが、ここに必要な情報が残っていることがあります。

1通500〜600円で取得できるものなので、「年数が微妙に足りないかもしれない」という段階で早めに確認しておくと、申請の見通しが立てやすくなります。


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