建設業許可の話になると、
「個人で5年以上やっているから大丈夫だろう」と
考えることが多いと思います。
個人事業として長く工事をしてきた場合、確定申告書が5年分あれば条件を満たしているように見えます。
ただ、実際に書類をそろえる立場から見ると、確定申告書だけでは足りないことがほとんどです。
経管で見られるのは「建設業の経営」
経営業務の管理責任者(経管)では、単に仕事をしていた年数ではなく、建設業を事業として運営していたかどうかが確認されます。
現場に出ていた期間ではなく、工事を請け負い、売上を立て、会社や事業を回していた立場だったかどうか、という点が重要になります。
元請けである必要はない
「元請けでないとだめなのでは」と思われがちですが、元請けであること自体は条件ではありません。
下請け中心でも問題ありません。
重要なのは、自分の事業として工事を請け負っていたかどうかです。
例えば次のような形であれば、下請けでも事業として認められます。
- 自分の名義で請求書を出している
- 工事の対価として入金を受けている
- 工事の責任を負っている
注意が必要な働き方
一方で、次のような場合は、事業ではなく労働と判断される可能性があります。
- 常に同じ会社の現場のみ
- 人工・日当での請求が中心
- 実態が雇用に近い
- 指示に従って作業するだけ
長年働いていても、「経営」としての実績とは扱われないことがあります。
確定申告書だけでは分からないこと
確定申告書から分かるのは、
- 事業収入があること
- 継続していること
- おおよその規模
です。
一方で、次のような点までは読み取れない場合があります。
- 建設工事を請け負っていたか
- 自分の名義で工事を請け負っていたか
- 建設業が主な収入だったか
そのため、別の資料で補う必要が出てきます。
最低限そろえておきたい資料
確定申告書に加えて、少なくとも次のような資料は確認しておくと安心です。
- 工事の契約書や注文書
- 請求書
- 入金記録(通帳など)
工事を受注して売上が発生していることが客観的に分かるものが必要になります。
あると安心な資料
さらに次のような資料がそろっていると、工事の実態がより明確になります。
- 見積書
- 工事台帳
- 完成工事の一覧
- 工事写真や施工記録
長年事業を続けている会社でも、昔の書類が残っていないことは少なくありません。
早めに確認しておくと安心です。
確実に通すために大切な考え方
書類は「必要最小限」でも通る場合がありますが、状況によっては追加資料を求められることがあります。
特に、個人事業の期間が長い場合や、工事内容が分かりにくい場合は注意が必要です。
最初から経営の実態がはっきり分かる形で資料をそろえておくと、手続きが止まりにくくなります。
法人成りした場合の注意点
個人事業から法人を設立した場合、個人としての経験をそのまま使うことはできます。
ただし、新しい会社側にも条件があります。
- 経管になる人が役員であること
- 主たる営業所に常勤していること
個人時代の実績が十分でも、法人の体制が整っていなければ認められません。
他社で役員をしていた経験を使う場合
過去に別の建設会社で役員をしていた場合も、経管として認められることがあります。
この場合は、
- 役員だった期間が分かる登記簿
- その会社が建設業を行っていた証拠
- 工事に関する資料
などを組み合わせて提出します。
会社によっては、請求書や事業内容の説明資料、沿革などを添付している例もあります。
まとめ
確定申告書が5年分あることは重要ですが、それだけで十分とは限りません。建設業として工事を請け負い、事業として運営していたことを書類で確認できる状態にしておくことが必要です。
建設業許可の準備は、制度よりも「資料がそろうかどうか」で難しさが大きく変わります。
申請直前になって慌てないよう、早めに確認しておくと安心です。
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