特定技能外国人は専任技術者になれるのか|在留資格と建設業許可の関係

「特定技能の社員に、専任技術者をやってもらえないか」

外国人材の活用が進む建設業界で、この相談が増えています。

人手不足の中、特定技能で受け入れた外国人が戦力として育ってくると、「この人に許可の要件を担ってもらえたら」と考えるのは自然なことです。

しかし、専任技術者になるには資格や実務経験だけでなく、在留資格による制約も関わってきます。

この記事では、特定技能外国人が専任技術者になれるかどうかを、在留資格の種類ごとに整理します。

目次

専任技術者の要件をおさらい

専任技術者は、建設業許可を維持するために営業所ごとに配置が必要な技術者です。

要件は大きく3つです。

  • 業種に対応する国家資格を持っている、または必要な年数の実務経験があること
  • 営業所に常勤していること
  • 他社の専任技術者と兼任していないこと

国籍による制限はありません。日本人でも外国人でも、要件を満たしていれば専任技術者になれます。

ただし、ここに「在留資格」という問題が加わります。

在留資格によって何が変わるのか

外国人が日本で働くには、就労が認められた在留資格が必要です。

そして専任技術者になるには、「営業所に常勤できること」が求められます。つまり、在留資格が就労を認めていて、かつ継続的に常勤できる状態であることが前提です。

在留資格に期限がある場合、「恒常的な雇用関係」が認められるかどうかが論点になります。

在留資格ごとの判断

特定技能1号

項目内容
在留期間通算5年が上限
家族の帯同不可
更新可能(ただし通算5年まで)

特定技能1号には通算5年の上限があります。

この「期限付きの雇用」という性質から、専任技術者の要件である常勤性・恒常的雇用を満たすかどうかは、行政庁の判断が分かれるところです。

現状では、特定技能1号のみで専任技術者として届出を認めてもらうのは難しいケースが多いと考えられます。

特定技能2号

項目内容
在留期間更新に上限なし
家族の帯同可能
更新可能(無期限)

特定技能2号は、在留期間の更新に上限がありません。

雇用期間を特に限定しない常勤雇用が可能であるため、専任技術者の要件を満たせる可能性が高くなります。

ただし、特定技能2号を取得するには高い技能水準が求められます。建設分野では、技能検定1級相当または同等の技能を有することが条件です。該当者はまだ少ないのが現状です。

永住者

項目内容
在留期間制限なし
就労制限なし

永住者は在留期間・就労内容ともに制限がありません。日本人と同じ条件で、専任技術者になることができます。

日本人の配偶者等・定住者

就労制限がないため、永住者と同様に専任技術者になれます。資格または実務経験の要件を満たしていれば、問題ありません。

技術・人文知識・国際業務

この在留資格は、いわゆる「ホワイトカラー」の業務が対象です。建設現場での施工管理業務が「技術」に該当すると認められれば、専任技術者になれる可能性があります。

ただし、在留資格の活動内容と、専任技術者としての業務内容が一致しているかどうかを慎重に確認する必要があります。

技能実習

技能実習の在留資格では、専任技術者にはなれません。制度の目的が「技能の習得」であり、恒常的な雇用関係の前提を満たさないためです。

一覧表

在留資格専任技術者ポイント
技能実習不可制度の目的が「技能習得」
特定技能1号原則困難通算5年の上限がネック
特定技能2号可能性が高い在留期間の更新に上限なし
技術・人文知識・国際業務条件付き業務内容の一致が必要
永住者可能日本人と同条件
日本人の配偶者等可能就労制限なし
定住者可能就労制限なし

資格と実務経験の壁

在留資格の問題をクリアしても、もうひとつの壁があります。資格または実務経験の要件です。

日本の国家資格を持っている場合

1級または2級の施工管理技士、建築士などの日本の国家資格を持っていれば、資格要件は問題ありません。近年は外国人で日本の施工管理技士に合格する方も出てきています。

実務経験で要件を満たす場合

資格がない場合は、実務経験で専任技術者の要件を満たすことになります。

  • 指定学科の大学卒業+3年以上の実務経験
  • 指定学科の高校卒業+5年以上の実務経験
  • 学歴を問わない場合は10年以上の実務経験

海外での実務経験が認められるかどうかは、行政庁の判断によります。日本国内での実務経験であれば、外国人であっても日本人と同じように証明できます。

外国の資格は使えるのか

原則として、外国で取得した資格がそのまま日本の経審や許可で評価されることはありません。日本の国家資格を改めて取得する必要があります。

会社として準備しておくべきこと

外国人社員を将来的に専任技術者にしたいと考えている場合、早めの準備が大切です。

1. 在留資格のステップアップを支援する

技能実習 → 特定技能1号 → 特定技能2号 → 永住者という流れの中で、どの段階で専任技術者の可能性が出てくるかを把握しておく必要があります。

特定技能2号への移行に必要な技能検定の受験支援や、永住申請に必要な条件の確認など、会社として計画的に関与することが重要です。

2. 日本の国家資格の取得を支援する

施工管理技士の試験は日本語で実施されます。技術力があっても、日本語の壁で合格できないケースがあります。

試験対策の勉強会や、受験費用の補助など、日本人社員と同様の支援があると取得率が上がります。

3. 実務経験の記録を残す

将来的に実務経験で要件を満たす場合に備えて、どの現場でどのような施工管理業務に従事していたかを記録しておくことが大切です。

工事台帳、施工体制台帳、作業日報などに名前と担当業務が残っていれば、証明資料として使える可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 特定技能1号の社員が1級施工管理技士を持っていれば、専任技術者になれますか?

A. 資格要件は満たしますが、在留資格の期限(通算5年)が常勤性の判断に影響します。行政庁によって判断が異なるため、事前に許可行政庁へ確認することをおすすめします。

Q2. 専任技術者にしていた永住者の社員が、永住許可を取り消された場合はどうなりますか?

A. 在留資格が変わった時点で、専任技術者としての要件を再度確認する必要があります。就労可能な在留資格が維持されていれば問題ありませんが、就労に制限がかかる資格に変わった場合は、届出が必要になる可能性があります。

Q3. 外国人の専任技術者を届出する際、追加で必要な書類はありますか?

A. 通常の届出書類に加えて、在留カードの写しの提出を求められることがあります。在留資格の種類と在留期間が確認できる書類を準備しておいてください。提出先によって求められる書類が異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。

Q4. 外国人が経管(経営業務の管理責任者)になることはできますか?

A. 在留資格上の制限をクリアしていれば、外国人が経管になることも可能です。ただし、経管には建設業の経営経験が求められるため、資格の問題とは別に、経験年数の証明が必要です。

まとめ

特定技能外国人が専任技術者になれるかどうかは、在留資格の種類によって大きく異なります。

  • 技能実習 → 不可
  • 特定技能1号 → 原則困難
  • 特定技能2号 → 可能性が高い
  • 永住者・定住者等 → 可能

国籍による制限はありませんが、在留資格の期限と常勤性の関係がハードルになります。

外国人社員を会社の技術的な柱として育てていくなら、在留資格のステップアップと国家資格の取得支援を早い段階から計画しておくことが大切です。

外国人社員の専任技術者登録や建設業許可の要件について、判断に迷うことがあればお気軽にご相談ください。

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