
この記事は「経営事項審査とは|公共工事を受注したい会社が知っておくべき基本」の関連記事です。
経営事項審査(経審)を受けたあと、「で、実際に何ができるようになるの?」と感じたことはありませんか?
経審はゴールではなく、公共工事入札への入口です。そして、取得した点数によって参加できる工事の規模が変わってきます。
この記事では、経審の点数(P点)の基本的な仕組みと、入札ランクへの影響、さらに「点数が高ければいい」とは言い切れない理由まで整理してお伝えします。
経審を受けただけでは、入札には参加できません
まず大前提として、経審を受けただけでは公共工事の入札には参加できません。
経審のあとに、各発注機関(福岡県・福岡市・各市町村・国の機関など)それぞれに「入札参加資格申請」を行う必要があります。この申請をして初めて、入札参加者名簿に登録され、入札に参加できるようになります。
流れを整理すると、次のようになります。
決算変更届の提出 → 経審の受審 → P点の取得 → 入札参加資格申請 → ランク付け → 入札参加
経審は、このプロセスの中間ステップです。
P点とは何か、簡単におさらいします
経審の結果として出される「総合評定値」がP点です。
P点は次の計算式で算出されます。
P = 0.25(X1)+ 0.15(X2)+ 0.20(Y)+ 0.25(Z)+ 0.15(W)
それぞれの意味は以下のとおりです。
- X1(完成工事高):業種別の年間平均完成工事高。売上規模が反映されます
- X2(経営規模):自己資本額と営業利益などから算出されます
- Y(経営状況):財務指標をもとにした経営分析の評点です
- Z(技術力):技術者の数や資格から算出されます
- W(社会性等):社会保険の加入状況、労働環境、建設機械の保有状況などが反映されます
P点は業種ごとに算出されます。つまり、土木一式工事と建築一式工事では、それぞれ別のP点が出ます。
ランクはA〜Dの段階に分かれています
入札参加資格申請をすると、発注機関がP点をもとにランク(等級)を付けます。一般的にはA・B・C・Dの4段階で、業種によってはランク数が異なる場合もあります。
たとえば福岡市の場合、一般土木の等級区分と対象工事規模は次のようになっています。
| 等級 | 予定金額 | 基準点(P点) |
|---|---|---|
| A | 2億1,000万円以上 | 1,000点以上 |
| B | 7,600万円以上〜2億1,000万円未満 | 900〜999点 |
| C | 2,100万円以上〜7,600万円未満 | 790〜899点 |
| D | 2,100万円未満 | 789点以下 |
建築の場合はAランクが1,090点以上、電気はAランクが1,030点以上と、業種によって基準点が異なります。
ランクごとに参加できる工事の規模(発注金額の範囲)が定められていて、自社のランク外の工事には原則として参加できません。
実は、P点だけでランクは決まりません
ここが少し複雑なところで、誤解されやすいポイントでもあります。
各発注機関は、経審で算出されたP点をそのまま使うわけではありません。P点に加えて、独自の「主観点」を加算して最終的なランクを決定します。
福岡市の場合、主観点として次のようなものがあります。
- 地場業者加算:福岡市内に本店がある業者は、経審点数の10%が加算されます
- 継続年数加算:市内に本店があり、継続登録10年以上の業者はさらに加算率がアップします(最大20%)
- 工事成績加算:過去3年度の工事成績評定点に応じて加点・減点があります
つまり、福岡市内に本店がある会社は、同じP点でも市外の会社よりランクが上になりやすい仕組みになっています。
また、古賀市、福津市など他の市町村に入札参加資格を申請する場合は、その市町村ごとの独自基準が適用されます。自治体によって内容が異なりますので、申請前にそれぞれの格付け要領を確認しておくことをおすすめします。
「点数が高いほどいい」とは限らない理由
「P点は高ければ高いほどいい」と思いがちですが、実はそうとも言い切れない面があります。
たとえば、C・Dランクの規模の工事を中心に受注してきた会社が、完成工事高の増加などでP点が上がり、Aランクに格付けされたとします。するとこれまで参加できていたC・Dランクの工事には参加できなくなります。Aランクの競合は規模の大きな会社が中心ですので、受注競争が厳しくなる場合もあります。
自社の施工体制・人員・資金力に見合ったランクを「意識して維持する」という視点が、実はとても大切です。
狙うランクから逆算して、P点の目標を決めましょう
こうした仕組みを踏まえると、経審を受ける前に一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
どの発注機関で、どの業種の、どの規模の工事を受注したいか。
この問いに答えてから、必要なP点を逆算する。それが、経審を有効に活用するための基本的な考え方です。
福岡市や福岡県など、入札参加を検討している発注機関のランク表(格付け要領)を確認して、狙うランクに必要な基準点を把握するところから始めてみてください。
まとめ
- 経審のP点は、X1・X2・Y・Z・Wの5項目から算出されます
- P点をもとに、各発注機関がA〜Dのランクを付けます
- ランクは発注機関独自の主観点(地場業者加算・工事成績など)が加算されて決まります
- 福岡市では、市内に本店がある業者は経審点数の10%以上が加算されます
- P点が高すぎると、自社の規模に合わない工事しか参加できなくなるリスクがあります
- 狙う工事規模から逆算して、必要なP点を設計することが大切です
経審は「受ければいい」ものではなく、目的を持って取り組むことで初めて意味を持ちます。まずは入札を検討している発注機関の格付け要領を確認することから始めてみてくださいね。
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